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第21章 伝わる心

離さないで欲しい
もっと、ずっと……

くらくら、する。
数日前にも同じ様に抱き締められた事を思い出して、涙が滲んだ。
黒田さんとの事を話したのに、斎藤さんは怒るどころか心配してくれて『真純を俺の中に入れてしまいたくて』って。私も同じ様に思ってたのが嬉しくて……
大切にしたいんだって言葉でも身体でも教えてくれて、あの時も大丈夫だって感じてたのに……

斎藤さんはいつだって私を想ってくれている。何度も伝えてくれてるのに、私は一人で不安になってすぐに揺れてしまう。

しっかり、しなくちゃ……

斎藤さんの肩に回した手に力を込めた。

本当に、溶けてしまいたい……
このまま混じりあって、一つになって。ずっと斎藤さんのそばに居られたら良いのに……

「ますみ……」
何処か切ない響きをもって囁かれた名前。
嬉しくて涙が落ちる。
「俺はこの先真純が俺から離れたくなったとしても、離してやれない」
ゆっくり腕が解かれ、呼吸が楽になった。私の涙を見た斎藤さんが口角を上げる。細めた目蓋の奥に緋を宿し
「それでも、良い？」
首を少し傾げて覗き込まれた。