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甘く、深く、繋がって
第22章 冬休み
左手も離してくれて。
「……っ?」
驚いて見上げるとさっきまでの獣のような獰猛さとは一転、両手を合わせ
「ごめん」
短く謝られた。
ほぼ同時、派手な音を立てて扉が開く。
「真純!」
パッと明かりが射し込んで、扉を蹴破る勢いで斎藤さんが走り込んできた。
私に跨がったままのお兄さんを掴むなり、一気に引き剥がす。ゴツッという鈍い音と低いうめき声。お兄さんが崩れ落ちるのが見えた。大きく肩で息をして、斎藤さんがこちらを振り返る。でもその表情は逆光で良く分からない。
「ゴメン、真純。嫌な思いさせた」
掛けられた声のあまりに苦しそうな響きに胸が締め付けられる。
「だい、大丈夫……です」
痺れたままの左手を気付かれないよう、身体を起こす。
「さ……拓真さん」
名前を呼ぶとゆっくり歩み寄って来てくれた。手を伸ばさなくても抱き寄せてもらえた事にホッとする。
「ホント、ごめん」
ギュッと強く抱き締められて少しキッチンの匂いのする温かい胸に顔を埋めた。大きな背中に手を回してすがり付く。
どうして?
どうしてそんな苦しそうに斎藤さん……拓真さんが謝るの?
チリッと不快なモノが胸を刺した。
「……っ?」
驚いて見上げるとさっきまでの獣のような獰猛さとは一転、両手を合わせ
「ごめん」
短く謝られた。
ほぼ同時、派手な音を立てて扉が開く。
「真純!」
パッと明かりが射し込んで、扉を蹴破る勢いで斎藤さんが走り込んできた。
私に跨がったままのお兄さんを掴むなり、一気に引き剥がす。ゴツッという鈍い音と低いうめき声。お兄さんが崩れ落ちるのが見えた。大きく肩で息をして、斎藤さんがこちらを振り返る。でもその表情は逆光で良く分からない。
「ゴメン、真純。嫌な思いさせた」
掛けられた声のあまりに苦しそうな響きに胸が締め付けられる。
「だい、大丈夫……です」
痺れたままの左手を気付かれないよう、身体を起こす。
「さ……拓真さん」
名前を呼ぶとゆっくり歩み寄って来てくれた。手を伸ばさなくても抱き寄せてもらえた事にホッとする。
「ホント、ごめん」
ギュッと強く抱き締められて少しキッチンの匂いのする温かい胸に顔を埋めた。大きな背中に手を回してすがり付く。
どうして?
どうしてそんな苦しそうに斎藤さん……拓真さんが謝るの?
チリッと不快なモノが胸を刺した。