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甘く、深く、繋がって
第22章 冬休み
「ってぇなぁ……」
お兄さんが起き上がる気配がした。押し倒された恐怖が蘇って全身が震える。拓真さんがもう一度ギュッと抱き締めてくれた。
「大丈夫」
耳元で囁かれたのは優しい声。
「おい、拓真」
さっき謝ってきたとは思えないほど不機嫌そうなお兄さんに身がすくむ。
「煩い。出て行け」
応じる拓真さんの声は苦々しさを纏っていて。少しの沈黙の後
「後で説明しに来い」
お兄さんはイライラした調子で言い残して部屋から出て行った。
パタンと扉が閉まる音。
拓真さんは身じろぎする事なく、私を抱き締めたまま。
私は拓真さんの匂いを胸一杯に吸い込んで、ようやく緊張が溶けていった。
「……ふっ、く」
勝手に込み上げてくる涙。
泣いたらきっと拓真さんを傷付ける、何となくそう思うのに安堵が勝って止められない。
怖かった……
拓真さんが、助けてくれた……
来てくれて良かった……
ギュッとしがみ付いた私を、応える様に抱き締め返してくれる。その腕の力強さに、斎藤さんの胸から響く早い鼓動に安心する。
お兄さんが起き上がる気配がした。押し倒された恐怖が蘇って全身が震える。拓真さんがもう一度ギュッと抱き締めてくれた。
「大丈夫」
耳元で囁かれたのは優しい声。
「おい、拓真」
さっき謝ってきたとは思えないほど不機嫌そうなお兄さんに身がすくむ。
「煩い。出て行け」
応じる拓真さんの声は苦々しさを纏っていて。少しの沈黙の後
「後で説明しに来い」
お兄さんはイライラした調子で言い残して部屋から出て行った。
パタンと扉が閉まる音。
拓真さんは身じろぎする事なく、私を抱き締めたまま。
私は拓真さんの匂いを胸一杯に吸い込んで、ようやく緊張が溶けていった。
「……ふっ、く」
勝手に込み上げてくる涙。
泣いたらきっと拓真さんを傷付ける、何となくそう思うのに安堵が勝って止められない。
怖かった……
拓真さんが、助けてくれた……
来てくれて良かった……
ギュッとしがみ付いた私を、応える様に抱き締め返してくれる。その腕の力強さに、斎藤さんの胸から響く早い鼓動に安心する。