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甘く、深く、繋がって
第22章 冬休み
やがて
「真純」
柔らかな、でも真面目な口調で拓真さんに名前を呼ばれた。

背中に回されていた腕が解かれ、二の腕を優しく掴まれる。身体を離して、まっすぐ私を見下ろして
「兄貴の事だから弟のモノは俺のモノとかなんとか言ったんだろうけど、真純が心配するような事はないから」
静かに、そう言った。
「……私が心配するような事?」
「うん……互いの彼女に手を出す、とか」
「…………」
黙り込んだ私に
「絶対にない」
キッパリと言い切って。
「確かにガキの頃はそう言ってオモチャなんかを取り上げられたけど、それとは次元が違う。同じ様にしていい事じゃないだろ?」
確かめるように私を見る。
「それに、何よりも浮気とか二股とか嫌なんだよ。兄貴も俺も」
本当に嫌悪を表して歪んだ顔。拓真さんのそんな顔を見るのは初めてで、疑うまでもなかった。

ホッと、する。

「……はい」
目を合わせたまま頷いた私に、拓真さんの眉が深くひそめられた。
「怖い思いさせて、本当にごめん」

拓真さんのせいじゃありません

そう伝えたいのに、まだ何かを抱えた斎藤さんの眼差しが気になって言葉が出ない。
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