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甘く、深く、繋がって
第22章 冬休み
「違うね。彼女に兄貴の言う『女』は当てはまらない」
真純は俺を真っ直ぐ見てくれる。自分の欲を満たす為に手当たり次第手を伸ばす『女』とは違う。
そう返した俺にこれ見よがしにため息を吐く。
「……お前さ、あんなエロい身体の女、誰にも躾られてないと思ってんの?」
呆れたように発された問い。それは俺が初めに感じた違和感と同じ。嫌な所を突いてくる。
しかも、そう思うという事はやはりソレなりのコトをシたんだろう。
恐怖に震え涙目だった真純を思い、頭が沸騰しそうに熱い。
事実そうだとして、考えられるのは真純を監禁した男。

……忌々しい。

怒りの矛先は名前も顔も知らないその男。真純は被害者、だ。
監禁中どんな目に遭わされていたのかは罪状から連想されても、その実際は分からない。本当にソイツに身体を躾られていたとしても、真純を責めるのは筋違い。彼女を愛する障害にもならない。良い事も悪い事も、色んな経験を重ねて人は作られていく。
切っ掛けは“マスミちゃん”だとしても、俺が愛してるのは今の真純だ。
「関係ないね。過去も全部引っ括めて、今の彼女を愛してる」
それは断言出来る。
変えられない過去を論(あげつら)う必要もなければ意味もない。
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