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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
それでも
「……は、はい」
緊張しながら小さく頷くと、お兄さんの目が柔く弧を描いた。
拓真さんが『大丈夫』を繰り返す。その声は優しい。いつもと同じ。
ソロリと見上げると柔らかな笑みが降ってきた。
だから『大丈夫』なんだと思うことにした。

朝御飯は拓真さんとお兄さんとで作ってくれていた。バターの蕩けた熱々のトーストにたくさんのグリーンサラダ、見るからにフワフワのオムレツ。

美味しそう……

拓真さんと並んで座って、お兄さんは拓真さんの前。私からは斜向かい。拓真さんを見上げるとどうしてもお兄さんが視界に入って、その度ニコリと笑い掛けられる。でも……何となくその目が笑ってない気がして鳩尾の辺りがシクシクする。
一緒に話すなんてとてもじゃないけど出来なくて、二人の会話を伺いながら静かにトーストにかじりついた。
目の前で交わされるのは何てことはないごく普通の、というよりは仲の良い兄弟の会話。昨夜の事なんてなかったみたい。

拓真さんはどうして普通に話せるの?
オモチャとは次元が違うって、彼女に手を出すことはないって言ってたけど……

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