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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
私はどうしてお兄さんから『品定め』をされなきゃいけないの?
一体何を、見られていたの?

頭の中を占めるいくつもの疑問。
時々拓真さんが私を振り返るから、その時はなるべく笑顔で返事を返すけど……出ない答えにますます口が重くなる。

帰ってきた、と言うことはきっと年始にかけて一緒に過ごすんだよね……

大丈夫だと思いたいのに、憂鬱になる。

昨日帰って来た時は幸せだったのに……

でもここはお兄さんの家で、拓真さんがここにいる限りお兄さんの事を考えない事も避ける事も難しい。何より拓真さんは普通に話してるし……

大丈夫
拓真さんが、そう言うんだもの
私は拓真さんを信じてる、から……

お兄さんの目は気になるけど、気にしないように努める事にした。少しずつ会話に交じって、ようやく話せるようになった頃にはもう拓真さんの出勤時間。

二人で残るのは怖かったけど
「四時頃タクシーでお店においで」
そう言って微笑む拓真さんの隣でお兄さんが靴を履いて立ち上がった。
「お前ら帰り何時?」
「十時位。兄貴は?」
「じゃあ俺の方が遅いな。夜は別の連中と飲むから……日付越えるかも。またメールする」
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