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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
「大丈夫?」
静かに掛けられた声。
それは紅茶が?
それとも私の気持ち?
「はい。美味しいです」
頷いで見上げると、お兄さんが少し表情を和らげたように見えた。でも
「拓真も俺もね、女は信用しないんだ」
徐(おもむろ)に話し出した内容は全然優しくなかった。
「今まで拓真が自分の部屋とかプライベートな空間に女を入れるのは見た事がない。なのにさ、久しぶりに帰ってきて拓真のベッドいたのは君だ。本人もいないのに、ね」
徐々に表情のなくなっていく端正な顔に言葉を奪われる。
「驚いたけど、それよりも腹が立った。留守にしてる間に女連れ込むとか……ね」
眉ねを寄せたお兄さんが短く息を吐いた。
「拓真をそこまでタブらかした君に興味が湧いた」
真っ直ぐ私を見詰めてくる瞳。下がった目尻は拓真さんとよく似てるのに、拓真さんと違い甘みの欠片もない眼差しに心は凍えていく一方で。
「隠しているのなら、暴いてやろうと思った」
苦しさから胸がギュウッとなる。
「か、隠すって……何を、ですか?」
辛うじて問い掛ける、声が震えた。
「欲、だよ。身体のね。性癖とか性的欲望、性嗜好」
嫌そうに返された言葉に息を飲んだ。
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