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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
それはお兄さんがいなくなってもここに来ても良い、という事?

「……良いんですか?」
「良いよ。何時でも飲みに来なよ」
右だけ口角を上げて笑いながらお兄さんは椅子に座り直した。
胸の奥が熱くなる。

……良かった

「ありがとうございます」
「うん……あのさ、ソレやるからとかじゃなく、名前、教えてくれる?拓真教えてくれなくて」
『君』と言われるのは私を認めてないからで、わざとだと思ってた。
「俺、斎藤克己」
先に名乗ったお兄さん、克己さんに笑顔で促され
「あ、の……河合真純です」
恐る恐る名前を告げた。
瞬間、克己さんが目を大きく見開いて
「えっ!?マスミちゃん?」
身を乗り出すようにして聞き返された。反射的に身体が縮こまる。近寄られると、どうしても恐怖が先に立つ。

……なに?
何で驚かれてるの?

「あ、悪い」
克己さんが身体を引いて、私の顔をじっと見た。
「おあー、マジか……」
そう言って背凭れに身体を投げる。
「実在したんだ」
「……実在?」
「そ。言われてない?小さい頃会ってるって」
その話は拓真さんに聞いたばかりで、あまりピンとはこないけど。
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