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第23章 長い一日

「おぉ、今月で六か月」
「六か月なんですか？ちっちゃぁい。可愛いぃ。女の子ですか？」
「いや、男の子。可愛いだろー？」
顔をくしゃっと崩して笑う佐伯さんは本当に嬉しそうで。ちょっと怖いと思っていた先入観を打ち消してくれた。優しい瞳に私まで温かい気持ちになる。
「男の子なんですか？女の子かと思いました。すごい、可愛いです」
思わず顔を近づけて覗き込んでしまった。
「嫁さんに似て良かったよ」
おどけて言いながら店内を見渡す。
「あそこで皿に料理取ってんのが俺の嫁さん」
中央のテーブルの前にいる奥さんを教えてくれた。
「綺麗な方ですね」
「だろ？」
またしても嬉しそうに笑う。
「どちらのご出身なんですか？」
「嫁さん？イギリス」
ニッと笑い
「シンデイー」
奥さんに声を掛ける。パッと振り返った彼女は手招きする佐伯さんにニッコリ微笑んで戻ってきてくれた。
「こ、こんにちは」
目の前に立たれるとすごく背が高い。
「こんにちは」
笑顔で返してくれたのに緊張する。
「俺の嫁さん、シンシア」
「初めまして」
「初めまして」
会釈を交わしていると
「タクの未来の嫁さん、真純ちゃん」
予想外の紹介に心臓が跳び跳ねた。