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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
気になるけれど、拓真さんを優しく包む空気に、口にするのは憚(はばか)れて……

「赤ちゃん、起きますよ」
拓真さんが佐伯さんの手を煩わしそうに払ってる。
「お、そうそう。シンディ抱っこ紐どこだ?」
思い出したようにシンシアさんに話し掛けた佐伯さん。
「抱っこ紐?バックヤード。取ってくる」
そう言って踵を返した奥さんと
「俺も行く」
二人して立ち去る音がした。
「はぁ……」
頭上で拓真さんがため息を吐く。
「相変わらず、ですね」
桐生さんはクスクス笑っていて
「……子ども出来たんだし、少しは落ち着いて欲しいんだけど」
拓真さんも淡々と返す。

そんなに気にする事もないのかな……

「来て早々落ち着かなくてゴメンね」
腕を解いて拓真さんが覗き込んできた。
「いえ」
笑って見せた私に拓真さんが少し眉を下げる。でも口元に浮かぶのは優しい笑みで。

やっぱり気にしすぎ?

「でも、気を付けて下さいね」
笑いを納めた桐生さんが心配そうに私を見ていた。
「何を、ですか?」
身体を捻って見上げると困ったように眉を下げる。
「随分と、気に入られた様なので……」
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