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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
少しの沈黙を挟んで、はぁと拓真さんがため息を吐く。
「余計な事を……」
小さく呟いて顔を上げ、手に覆われていない左目でじっと私を見詰めて。
「そう、だよ」
静かに肯定されて顔が熱くなる。
思わず息を飲んだ私に少し首を傾げてフッと笑った。
テーブルの上に置いていた左手を伸ばし、私の頬に触れてくる。
「誰にも真純を触らせたくないし」
「っ……」
「見せたくない」
熱を帯びていく眼差しに耐えられなくなって下を向いた。すごく、心臓がドキドキしてる。
「……んですけど?」
何故かそこに疑問形を付け加えた拓真さん。
「でしょうね。退散します」
桐生さんのクスリと笑う声が降って来た。
「河合さん、タクをよろしくお願いします。本日は楽しんで行って下さい」
視界の端で桐生さんが頭を下げる。上体を戻すとそのまま離れて行ってしまった。

あ、挨拶できなかった……

「ますみ」
柔らかな拓真さんの声。長い指先が輪郭を辿るように顎を撫で、親指が唇に触れてくる。
「っ!」
反射的にキュッと口元を引き締めた。
「ね、こっち向いて?」
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