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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
唇をそっとなぞる親指に背筋がゾクゾクする。
それなのに頬の熱さはさっきまでの比じゃなくて。顔を上げて拓真さんを見るなんて、絶対無理。
「ますみ」
もう一度呼びかけられてふるふると頭を左右に振った。勢いで離れた指先。また頬を包まれて、今度は奥に滑って耳たぶに触れてくる。
「んっ……」
ビクッと肩が竦んだ。拓真さんは構う事なくそっと耳介をなぞり、親指と人差し指とで耳たぶを挟む。捻る様に柔く弄られて頭が小刻みに震えた。

や、だ……
ぞくぞく、する

「こっち、向いて」
「……む、無理、です」
声が裏返りそうになって焦った。
「じゃあ、良いよ。このままで」
「……はっい」
無理強いされなかったのにはホッとしたけど、右の耳から奥へ浸透する甘い痺れにどうかなってしまいそう。

どうして、今、ここで、コンナ事?

「……ね、ますみ」
「は、い」
「さっき、何に不安になったの?」
「ふっえ?」
予想外の質問。思わず見上げて、拓真さんとバチンと目が合った。
優しい眼差しは、愁いを帯びて陰っていて。さっき飲み込んだはずの不安に胸が苦しくなってきた。
「俺、何したか教えて?」
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