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第23章 長い一日

小さく息を吐いて目を開ける。
何か応えようとしていた拓真さんの手を握って止めてもらった。
「拓真さんは関係ないの」
真っ直ぐはるちゃんを見て言い切る。
みゆきさんの言葉に倒れるほど動揺してしまったのは、拓真さんのせいじゃない……
ちゃんとセックスが嫌いな事を伝えていれば、黒田さんの事があってもあんな風に身体を重ねる事はなかった。『たっくん』の噂に自分を重ねて不安になることもなかった。
拓真さんはちゃんと私を愛してくれてたのに……私は愛されてるって自信を持てなくて。みゆきさんの言葉に激しく心を揺さぶられてしまったの。あろう事にも拓真さんを疑ってしまったの……
それは、私の弱さ。拓真さんのせいじゃない。
「……そう、なの？」
疑わしげなはるちゃんの目。
「うん。……あの時ね、別のフロアの会社の人とトラブルにあったの。……すごく、怖くて……」
嘘にならない程度の曖昧な説明。言外に詳しく話したくない事を示して目を伏せた。
「……嫌な事思い出させてゴメンね」
謝られてそっと見上げると、はるちゃんは眉を下げ心配そうに私を見ていた。