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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
「だって、せいちゃんこんなに大きくなかったもん!」
つい大きな声が出た。
記憶の中のせいちゃんははるちゃんと同じ位で、壮ちゃんに比べて小さかったように思う。
「ははっ、確かに」
桐生さんが声を立てて笑う姿を始めて見た。
「はる先輩たちが卒業された後、一気に伸びたんです」
屈託のない笑顔は確かに記憶の中のせいちゃんと同じで。

いくら背が高いからって、何で今まで気が付かなかったんだろう……

「えっ、じゃあ桐生さん合唱部だったんですか?」
並んで歌ってる桐生さんの姿を想像できなくて、思わず聞いてしまった。
桐生さんはフフっといつもの柔らかな笑顔で
「えぇ、そうです。とは言いましても先に入ってた合唱部の友達に頼まれて、伴奏をしていました」
応えてくれる。
「ピアノ弾けるんですか?」
「はい。小さい頃習ってましたから、嗜む程度ですが」
そう言うけれど、ちょっとやそっとの腕で合唱の伴奏は出来ない。
凄い、なぁ……
楽器が弾けたらきっと楽しいと思う。
「素敵ですね」
そう言った私に
「ありがとう」
にっこり笑ってくれた。
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