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甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
「タクを紹介するつもりで、そう先輩方に伝えてあります」
「……はい?」
思いがけない言葉に正直驚いた。
いや、来店されて挨拶しない訳はないが、紹介となるとまた違う。
「止めて、おきますか?」
すっと細められた瞳。何所か冷たさを感じるその眼差しに、一瞬浮ついた心が静かに引いた。
……試されてる?
「いえ、ありがとうございます」
頭を下げた俺をじっと見詰め、桐生さんが口元を和らげた。
「良かった。断る様なら、すみちゃんに別れを勧めるところでした」
「……」
桐生さんが真純をすみちゃんと呼んでいた事は報告した時に打ち明けられていた。今、あえて同じ呼び方をしたという事は、やはり試されていたのだろう。
……本当に昔の彼女の妹、なだけか?
桐生さんを勘ぐりたくなる俺はどうかしてる。
変わらず俺を見ていた桐生さんがクスリと笑った。
「何度もお伝えしてますが、河合さんは僕にとっては大切な妹ですよ」
しかも、気づかれるとか……
思わずため息が口を吐く。
「では、そういう事なので、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
笑顔の桐生さんにもう一度頭を下げてホールを後にした。
「……はい?」
思いがけない言葉に正直驚いた。
いや、来店されて挨拶しない訳はないが、紹介となるとまた違う。
「止めて、おきますか?」
すっと細められた瞳。何所か冷たさを感じるその眼差しに、一瞬浮ついた心が静かに引いた。
……試されてる?
「いえ、ありがとうございます」
頭を下げた俺をじっと見詰め、桐生さんが口元を和らげた。
「良かった。断る様なら、すみちゃんに別れを勧めるところでした」
「……」
桐生さんが真純をすみちゃんと呼んでいた事は報告した時に打ち明けられていた。今、あえて同じ呼び方をしたという事は、やはり試されていたのだろう。
……本当に昔の彼女の妹、なだけか?
桐生さんを勘ぐりたくなる俺はどうかしてる。
変わらず俺を見ていた桐生さんがクスリと笑った。
「何度もお伝えしてますが、河合さんは僕にとっては大切な妹ですよ」
しかも、気づかれるとか……
思わずため息が口を吐く。
「では、そういう事なので、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそよろしくお願いします」
笑顔の桐生さんにもう一度頭を下げてホールを後にした。