この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
振り返った真純の瞳が揺れている。安心させたくて笑みを返したのに、何故か泣きそうな顔をされてしまった。
真純?
声を掛けたい。
抱き寄せたい。
そう思っても、さすがにこの場では叶わない。
「一緒のテーブルに座りますか?」
桐生さんが声を掛けてくれた。
俺を見据えたまま動かないソウスケさんに構う事なく、飲み物の希望を聞いてテーブルを離れて行く。
それが許される関係なんだろう。
「立ったままだと落ち着かないよ。座ろう、壮助」
「ん?あぁ」
真純の姉に促され、ようやく視線が俺から外れる。その眼差しは柔らかくて。今しがた気のせいと落ち着かせたはずの違和感がまた胸の奥で燻り出す。
「斎藤さんも、真純も座って」
一見穏やかな笑顔。真純を見下ろして二人一緒に腰を下ろした。
何だ、この違和感……
「二人は飲まないのか?」
「あ、うん。喉渇いてて……」
目の前で話す二人を眺めているうちに違和感の正体に気が付いた。
ソウスケさんも真純も兄妹の割に互いに気を使い過ぎて距離がある。ソウスケさんと姉の間にそんな距離はないのに、だ。
『育ちに色々あって』
そう言いながら眉を寄せた千佳の顔が頭を過った。
真純?
声を掛けたい。
抱き寄せたい。
そう思っても、さすがにこの場では叶わない。
「一緒のテーブルに座りますか?」
桐生さんが声を掛けてくれた。
俺を見据えたまま動かないソウスケさんに構う事なく、飲み物の希望を聞いてテーブルを離れて行く。
それが許される関係なんだろう。
「立ったままだと落ち着かないよ。座ろう、壮助」
「ん?あぁ」
真純の姉に促され、ようやく視線が俺から外れる。その眼差しは柔らかくて。今しがた気のせいと落ち着かせたはずの違和感がまた胸の奥で燻り出す。
「斎藤さんも、真純も座って」
一見穏やかな笑顔。真純を見下ろして二人一緒に腰を下ろした。
何だ、この違和感……
「二人は飲まないのか?」
「あ、うん。喉渇いてて……」
目の前で話す二人を眺めているうちに違和感の正体に気が付いた。
ソウスケさんも真純も兄妹の割に互いに気を使い過ぎて距離がある。ソウスケさんと姉の間にそんな距離はないのに、だ。
『育ちに色々あって』
そう言いながら眉を寄せた千佳の顔が頭を過った。