この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘く、深く、繋がって
第23章 長い一日
咎めるような物言いにも動じない桐生さんのお陰で、ピリピリしていた空気は幾分薄らいでいた。何時もと同じ、穏やかな瞳でソウスケさんの冷気を緩め、真純を包むように優しく微笑む。
何故桐生さんが真純を大切に思うのか。桐生さんに真純と付き合う事を伝えた時に打ち明けられて、大人気なくも話さないで欲しいと頼んでいた。兄もしくは姉と会う事になれば、隠し通せない。分かっていても、その時はまだ真純と桐生さんの距離が縮まる事を両手を上げて受け止める余裕がなくて……
『はるちゃんのセイちゃん』
その言葉に真純が目を瞬いた。今の今まで緊張していた表情が一気に綻む。
「あんなになついてたのに、気付いてなかったのか?」
ソウスケさんの呆れた物言いはそれだけ仲が良かった証。言い訳する真純の恥ずかしそうな困り顔が可愛くて。
こんなときにも拘わらず胸の奥がチリリと焦げる。
誰にも聞こえないよう静かに息を吐いた。
昔話が一段落して
「名前位はお互い名乗ってますか?」
桐生さんが口を開いた。
「壮先輩。タクは、大丈夫ですよ」
ソウスケさんに笑顔で告げたのはそれだけ。短い言葉に桐生さんの思いが全て集約している様だった。
何故桐生さんが真純を大切に思うのか。桐生さんに真純と付き合う事を伝えた時に打ち明けられて、大人気なくも話さないで欲しいと頼んでいた。兄もしくは姉と会う事になれば、隠し通せない。分かっていても、その時はまだ真純と桐生さんの距離が縮まる事を両手を上げて受け止める余裕がなくて……
『はるちゃんのセイちゃん』
その言葉に真純が目を瞬いた。今の今まで緊張していた表情が一気に綻む。
「あんなになついてたのに、気付いてなかったのか?」
ソウスケさんの呆れた物言いはそれだけ仲が良かった証。言い訳する真純の恥ずかしそうな困り顔が可愛くて。
こんなときにも拘わらず胸の奥がチリリと焦げる。
誰にも聞こえないよう静かに息を吐いた。
昔話が一段落して
「名前位はお互い名乗ってますか?」
桐生さんが口を開いた。
「壮先輩。タクは、大丈夫ですよ」
ソウスケさんに笑顔で告げたのはそれだけ。短い言葉に桐生さんの思いが全て集約している様だった。