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甘く、深く、繋がって
第25章 始まりの夜
「あっ……」
当然の様に私を横向きに抱き上げて、拓真さんが歩き出す。暴れてみても一人で歩けないのは明白で。大人しくロビーのソファーまで運んでもらった。
「荷物取って来るね」
拓真さんがポンポンと頭を撫で、エレベーターホールへ引き返す。少ししてスーツケース片手に戻ってくると
「チェックインしてくるからちょっと待ってて」
そのままカウンターへ。格式高い場の雰囲気に負けない、凛とした後ろ姿。思わず見惚れて、同時にシクンと胸が疼いた。

拓真さん、慣れてるなぁ
前にも誰かと……

小さく頭を振って、もやっとした気持ちを振り払う。
気にしても仕方ない。拓真さんは今、私と一緒にいる。

それにしても、年末にこんなに良いホテルが空いてるとは思えなくて。二泊しか確保出来なかったと言ってたけど、どうやって二泊も確保出来たの?

そんな事を考えながらロビーを見渡していたら、拓真さんがスタッフの方と一緒に戻って来た。立ち上がろうとした私を制して抱き上げてくれる。
「やっ、あの、歩けますっ」
「うん、良いからちゃんと掴まって?」
耳元で諭される。掛かる吐息にビクッと身体が震えて。素直に拓真さんの首に腕を伸ばす事にした。
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