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甘く、深く、繋がって
第25章 始まりの夜
丁度頭を流し始めた拓真さんに気付いた様子はない。

すごい勢いで心臓が走ってる。
あっという間に濡れたネグリジェが脚に張り付く。
気付かれないよう一つ深呼吸。意を決して、後ろから拓真さんに抱きついた。
「っ!ま、すみ?」
拓真さんの身体が驚いた様にビクッと震える。狙い通りの反応に嬉しくなってギューッと背中にしがみ付いた。
「ちょっ、濡れるって」
焦りを含んだその声にふふっと笑ってしまう。

備え付けのパジャマがあるから別に良いのに。

それよりも拓真さんを驚かす事が出来てスッキリした。
満足した私はそこで出るつもりだった。
離れようと解いた右腕をグッと掴まれる。
「っとに……」
小さく囁いて
「真純」
名前を呼ぶ甘い声。それはもう落ち着いていて。グイッと腕を拓真さんの前へ引っ張られた。
「あっ」
酔いの回った頭が揺れる。膝から落ちそうになって拓真さんの腕にすがり付いた。
頭から降りかかる熱いシャワー。目に入りそうになって反射的に目を閉じて。
揺れが落ち着いてから左手で濡れた前髪を掻き上げ、ゆっくり目蓋を開けた。
「……っ!」
目に入ったのは私を見下ろす艶やかなシンメトリー。目尻の下がった瞳に宿る緋の炎。
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