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甘く、深く、繋がって
第25章 始まりの夜
とはいえ、俺が全部話した事は真純に伝わっていないようだから、そこには触れられない。
「そ、そうですか?」
ほっとした様で、でも不安を残したままの真純の頭を撫でた。
「あのね、お兄さんもお姉さんも心配するに決まってるでしょ。真純ご両親いないし、ね?」
「……はい」
返事に少し間が出来たのは恐らく事件の事を考えたのだろう。でもそれを言葉にする必要はない。事件の事で慎重にはなっているだろうが、壮助さん達の不安はそこじゃない。
俺がしてきた過去は取り消せない。だから『任せるに足る』と思い続けて貰える為の努力は必要。それは当然の責。
「そんなにぎこちなく見えた?」
頭に手を乗せたまま覗き込むと、真純が慌てたように大きく手を振った。
「い、いえ、そんな事ないです。普通に話してたので、びっくりしました」
「うん、良くしてもらえて、感謝してる。ありがとう」
まだ何処か不安そうではあったが、真純の頬が嬉しそうに綻んだ。
「桐生さんと千佳にもお礼を言わないとな」
壮助さん達を呼んでくれた事もだが、あの二人の言葉があったから冷静でいられた。
願うは、真純の幸せ……
「はい」
頷いた真純の頭を撫でる。肩に手を滑らせ、そっと身体を抱き寄せた。
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