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甘く、深く、繋がって
第25章 始まりの夜
ホテルに着いて、尻込みする真純の手を引きエントランスを抜けた。
「あ、あの……」
後ろから遠慮がちに声を掛けられて
「ん?」
振り返った真純の眉が下がってる。
「私、こんな……払えません」
小さく震えた声。
真純に払ってもらうとか、考えもしなかった。
本気で困っている様子が可愛くて、ふふっと笑ってしまう。
「真純に払ってもらうつもりはないよ。こういう時は恰好付けさせて?」
ホールでエレベーターを呼ぶと、待つことなく扉が開いた。強引に引き込み
「ちょっとまっ……んっ」
ロビーフロアのボタンを押して、ドアが閉まるのも待てずに抱き寄せた。驚いて見上げてくる真純に覆い被せるように唇を重ねる。早々に舌を滑り込ませ、歯列をなぞって
「ふっ、ぅ……んんっ」
甘えた声に誘われる。

大切にしたい、甘やかせたい。
そう思う一方で、めちゃくちゃにしたい、啼かせたいとも思う。
俺の中にある相反する思い。でも初めに抱いた時の事を悔いる気持ちもあって。それからは大切に抱いてきた。
でも昨夜、兄貴に触発されたとはいえ、真純に無理をした。
あれは……なし、だ。
なんて、今だから冷静に思えるのであって、あの時そんな余裕はなかった。


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