この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘く、深く、繋がって
第25章 始まりの夜
誰もが幸せを望んで生きている。それは自分だけに限らず、恋人だったり、家族だったり、願う相手は人それぞれ。
そんな当たり前の事さえも忘れてた。
思い出せたのも、気付けたのも、真純。全部君のおかげ。
「此方がお部屋のキーになります」
差し出されたカードキーに思考を引き戻された。
「ありがとう」
受け取ろうとしてグッと抵抗される。
「何?」
見上げた千太郎は至って真面目な顔で俺を見ていた。
「拓、お前何か変わった?」
「……」
「うん、ま、悪くないんじゃない?」
ニッと上がった口角。
何が『悪くない』だ……
勝手に一人で上機嫌になった千太郎。
「彼女、歩けないんだろ?荷物運んでやるからちょっと待ってろ」
その眼に宿る親切心。断るのも後々面倒な事になりそうで。
「……分かった」
大人しくスーツケースを運んでもらう事にした。
意外な事に千太郎はその語一切の私語を挟むことなく、スーツケースを置くときっちり仕事をこなして戻って行った。
一緒に好き放題して来たが、千も変わったという事か……
入ってすぐに目についた丁寧にセットされたシャンパンとフルートグラス。
そんなもの頼んだ覚えはない。
そんな当たり前の事さえも忘れてた。
思い出せたのも、気付けたのも、真純。全部君のおかげ。
「此方がお部屋のキーになります」
差し出されたカードキーに思考を引き戻された。
「ありがとう」
受け取ろうとしてグッと抵抗される。
「何?」
見上げた千太郎は至って真面目な顔で俺を見ていた。
「拓、お前何か変わった?」
「……」
「うん、ま、悪くないんじゃない?」
ニッと上がった口角。
何が『悪くない』だ……
勝手に一人で上機嫌になった千太郎。
「彼女、歩けないんだろ?荷物運んでやるからちょっと待ってろ」
その眼に宿る親切心。断るのも後々面倒な事になりそうで。
「……分かった」
大人しくスーツケースを運んでもらう事にした。
意外な事に千太郎はその語一切の私語を挟むことなく、スーツケースを置くときっちり仕事をこなして戻って行った。
一緒に好き放題して来たが、千も変わったという事か……
入ってすぐに目についた丁寧にセットされたシャンパンとフルートグラス。
そんなもの頼んだ覚えはない。