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甘く、深く、繋がって
第28章 初詣
結局全員桐生さんのミニバンに乗ることになって、宣言通り私は助手席。後部座席の前列に拓真さんと千佳ちゃん、後列に壮ちゃんとはるちゃん。
拓真さんと千佳ちゃんが喧嘩にならないかハラハラしたけど、二人とも乗った後から互いに一言も発しない。静かな空間に聞こえるのは壮ちゃんとはるちゃんの他愛のない会話だけ。柔らかなはるちゃんの声と低く抑えられた壮ちゃんの声は耳に心地よくて。
「すみちゃん、眠ってて」
助手席に座っているのにも関わらず、桐生さんに促されるまま私は眠りに落ちてしまった。
「……みちゃん、すみちゃん」
私を呼ぶ優しい声。
「すみちゃん、起きて?」
促されてもまだ起きたくない。
「ん、せい、ちゃ……もうちょっと……」
この匂い、好き……
そう思って上掛けを口元まで引き上げるとクスリと笑われた。
「初日の出、観るんだよね?」
はつひので……?
「う、ん……」
ポンポンと優しく頭を撫でる大きな手。
「もう昇ってきちゃうよ?」
そう言われてようやく目が開いた。
ぁ……
上掛けだと思っていたのは拓真さんのコート。頬がじわりと熱くなった。
拓真さんと千佳ちゃんが喧嘩にならないかハラハラしたけど、二人とも乗った後から互いに一言も発しない。静かな空間に聞こえるのは壮ちゃんとはるちゃんの他愛のない会話だけ。柔らかなはるちゃんの声と低く抑えられた壮ちゃんの声は耳に心地よくて。
「すみちゃん、眠ってて」
助手席に座っているのにも関わらず、桐生さんに促されるまま私は眠りに落ちてしまった。
「……みちゃん、すみちゃん」
私を呼ぶ優しい声。
「すみちゃん、起きて?」
促されてもまだ起きたくない。
「ん、せい、ちゃ……もうちょっと……」
この匂い、好き……
そう思って上掛けを口元まで引き上げるとクスリと笑われた。
「初日の出、観るんだよね?」
はつひので……?
「う、ん……」
ポンポンと優しく頭を撫でる大きな手。
「もう昇ってきちゃうよ?」
そう言われてようやく目が開いた。
ぁ……
上掛けだと思っていたのは拓真さんのコート。頬がじわりと熱くなった。