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甘く、深く、繋がって
第28章 初詣
僅かに震えるその手に、ダレか見たのだと確信する。

……誰が、いた?

真純が震えるほど怖がる相手……
事件の男はまだ服役中だ。
とすれば、みゆきか黒田か……

ここはそれなりに大きな浅間神社で、俺たちの住む町からもそう遠くない。来ていてもおかしくはない。
「真純、だれ」
確認しようとして、慌てて両手をヒラヒラと振られた。
「あっ……ごめんなさい。温かいので、お願いします」
視線を膝に落とし、そこでギュッと拳を握る。
色が白くなるほど固く握られた両手。

みゆき絡みだとすれば尚更、俺に我慢して欲しくないのに……

「分かった。行かない」
なるべく優しく伝わるよう声を和らげ、左手でそっと真純の頭を肩口へ抱き寄せた。
「大丈夫、離れないから」
安心させたくて頭の上でポンポンと手を跳ねさせ、改めて視線を周囲へ飛ばす。そして見つけた。
丁度参拝を終え、折り返してくる人の中に年配の夫婦と一緒に歩くみゆきと……黒田。
身体が反応しそうになって何とか踏み留める。
黒田を目の前にしてふつふつ沸いてくる怒り。真純を思えばこそ、ここで発する訳にはいかない。
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