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甘く、深く、繋がって
第28章 初詣
二人揃って出会(くわ)すとは……
さっきの真純の顔色の悪さに合点がいった。おそらく、真純は二人の関係を知らない。色々考えて、不安に思ってるに違いない。
出来れば知らないままにしておきたかった。黒田に事件の事を知られてると分かったら、また真純が傷付く。

ここは参道から離れている。幸い今のところ気付かれた様子はない。
このまま通り過ぎてくれれば……

そう願いつつ立ち上がり、真純が死角になるよう立つ位置をずらした。
「もし気付かれても、俺が対応するから。真純は応えなくて良いよ」
俺の言葉に真純が顔を上げた。下がり切った眉。笑みを浮かべた俺に返されたのは今にも泣きそうな笑顔で。でも
「あ、りがとうございます」
小さく呟いた真純から余計な力が抜けたのが分かった。

抱き締めたい。でも、今人目を引くような事は出来ない。
右手を伸ばし、丸い頭を撫でる。くしゃくしゃと髪を乱すと、真純の口元が綻んだ。
両手で腕を掴んでくる。キュッと力を込め、祈るように目を閉ざした真純。
その姿に胸が痛む。
「真純」
頬を包もうとして
「拓真っ!」
最も呼ばれたくない相手から声を掛けられた。
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