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甘く、深く、繋がって
第29章 ・・・のために
「たっ、拓真さん!」
目立ちたくなくて身動いで。
「危ないからじっとしてて」
強く引き寄せられてしまう。
「あっちのベンチまで行くだけだから」
諭すような声に、却って目立つ事に気が付いて抵抗するのを諦めた。
大人しく拓真さんに身体を預け、少し歩いた所でそっとおろされた。
境内の端のベンチ。
譲ってもらったみたいで申し訳ない。そう思うけど、拓真さんにみゆきさん達の事を悟られないためにはどうすれば良いのかを考えるだけで精一杯。お礼も言えずに俯いてしまった。
「ここで落ち着くまで休もう。合流するのはその後で、ね?」
正面に膝を付いて覗き込んでくる。心配そうな眼差し。その肩越しにみゆきさんの後ろ姿が目に入って
「は、い。スミマセン……」
慌てて視線を落とした。
拓真さんは何も言わず後ろを振り返る。
あ、しまった……
不自然だったと後悔して、拓真さんがみゆきさん達に気付かない事を必死に祈る。
やがて静かにこっちを向いた拓真さん。黙ってじっと見詰めてくる気配に内心ヒヤヒヤしながら顔を上げた。
瞬きで気持ちを落ち着かせ、ゆっくりと口角を笑みの形に引き上げて。
どうか、気付かれませんように……
目立ちたくなくて身動いで。
「危ないからじっとしてて」
強く引き寄せられてしまう。
「あっちのベンチまで行くだけだから」
諭すような声に、却って目立つ事に気が付いて抵抗するのを諦めた。
大人しく拓真さんに身体を預け、少し歩いた所でそっとおろされた。
境内の端のベンチ。
譲ってもらったみたいで申し訳ない。そう思うけど、拓真さんにみゆきさん達の事を悟られないためにはどうすれば良いのかを考えるだけで精一杯。お礼も言えずに俯いてしまった。
「ここで落ち着くまで休もう。合流するのはその後で、ね?」
正面に膝を付いて覗き込んでくる。心配そうな眼差し。その肩越しにみゆきさんの後ろ姿が目に入って
「は、い。スミマセン……」
慌てて視線を落とした。
拓真さんは何も言わず後ろを振り返る。
あ、しまった……
不自然だったと後悔して、拓真さんがみゆきさん達に気付かない事を必死に祈る。
やがて静かにこっちを向いた拓真さん。黙ってじっと見詰めてくる気配に内心ヒヤヒヤしながら顔を上げた。
瞬きで気持ちを落ち着かせ、ゆっくりと口角を笑みの形に引き上げて。
どうか、気付かれませんように……