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甘く、深く、繋がって
第29章 ・・・のために
「真純」
拓真さんの優しい声に支えをもらって、でもその直後
「拓真っ!」
聞こえてきたみゆきさんの声に身体が震えた。
みゆきさんに構うことなくそっと頬に手が添えられる。ゆっくりと、掬われて。
「大丈夫、だから」
そう、言ってくれた。真っ直ぐに私を見詰める拓真さんに『大丈夫』と答えたくて、笑みを返した。
私を守ろうとしてくれる、拓真さんの思いが伝わってくる。

私も、拓真さんを守りたい……

腕を掴んでいた両手を離し、指を絡めるように左手を繋ぎ直された。キュッと強く握って背中に回し、拓真さんがみゆきさんを振り返る。
「拓真っ!」
みゆきさんの弾んだ声は、純粋に嬉しそう。
「拓真も初詣に来、た……の?」
近付いてきたその声が強張った。
刺さりそうなほどキツい眼差し。思わず拓真さんの手を握ったら、すぐに握り返してくれた。身体をずらしてみゆきさんから隠してくれる。
大丈夫、そう思っていたはずなのに、視線が遮られた事にホッとした。
「俺らに近付くなと言ったはずだけど?」
感情を抑えた、低い声。相手を威圧するように話す拓真さんの声を、初めて聞いた。
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