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甘く、深く、繋がって
第29章 ・・・のために
パッと拓真さんが振り返る。驚いたような目と目が合った。すぐに心配そうに寄せられた眉ね。
「真純」
大丈夫、自分に言い聞かせるためにも拓真さんに微笑んで、その横から前へ出た。
「みゆきさん」
「……何よ」
向けられたキツい眼差し。明らかな敵意に身がすくむ。でも……
拓真さんの手を握って心を落ち着かせる。
「私、拓真さんの事……真剣なんです」
「はあっ!?」
一気に眉間のシワを深めたみゆきさんに拓真さんが私の手を後ろへ引いた。そのまま背中に庇われそうになって慌てて拓真さんの動きを遮って。
「真純」
心配そうな拓真さんに首を左右に振り、みゆきさんに向き直る。
「拓真さんの事が本気で好きなんです」
「だから?今まで付き合ってた人は好きじゃなかったって言うの?」
「っ!」
「あぁ、だからみんなセックスの事しか言わないのね」

みん、な……セックス?

「そんな付き合いしかしてないくせによく平気で好きとか真剣とか」
「みゆき!」
黒田さんの咎める声が聞こえた気がした。
私は右手を強く後ろに引かれ、バランスを崩して拓真さんの腕の中。胸に頭を押し付けるように抱き締められて何も見えなくなった。
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