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甘く、深く、繋がって
第29章 ・・・のために
離して貰おうと身を捩って、益々強く抱き締められてしまった。
「いえ……クラウチさんに頼む事ではありませんが、二度と関わらせないで頂けますか?」
低い、静かな声。それはとても丁寧な言い方で、だからこそ拓真さんが本気で怒っているのか伝わってきた。
今まで何度か会ったみゆきさんはいつも余裕綽々としていた。だから私は不安を掻き立てられ、悩まされて来た。今日の様に切羽詰まった様子も明らかな敵意を向けられたのも初めてで。
みゆきさんともう会わずに済む……
ホッとするのに、一度としてみゆきさんとちゃんと話せていないという後悔が胸の中でグルグル渦巻く。一方的に言われるばかりで、会話らしい会話はした事がなかった。
このまま、こんな別れのままで良いの?
……だ、め
こんな終わり方は、多分後悔する
「たっ、拓真さん」
私を包んでくれる優しい腕を叩き、離して欲しいと訴える。でも拓真さんが緩めてくれる気配はなくて。もう一度その腕を叩いた。
「拓真さん、ありがとうございます。あの、私大丈夫です」
「……うん」
ゆっくりと腕が解かれ、明るくなった視界。心配そうに眉を下げた拓真さんが覗き込んできた。
「いえ……クラウチさんに頼む事ではありませんが、二度と関わらせないで頂けますか?」
低い、静かな声。それはとても丁寧な言い方で、だからこそ拓真さんが本気で怒っているのか伝わってきた。
今まで何度か会ったみゆきさんはいつも余裕綽々としていた。だから私は不安を掻き立てられ、悩まされて来た。今日の様に切羽詰まった様子も明らかな敵意を向けられたのも初めてで。
みゆきさんともう会わずに済む……
ホッとするのに、一度としてみゆきさんとちゃんと話せていないという後悔が胸の中でグルグル渦巻く。一方的に言われるばかりで、会話らしい会話はした事がなかった。
このまま、こんな別れのままで良いの?
……だ、め
こんな終わり方は、多分後悔する
「たっ、拓真さん」
私を包んでくれる優しい腕を叩き、離して欲しいと訴える。でも拓真さんが緩めてくれる気配はなくて。もう一度その腕を叩いた。
「拓真さん、ありがとうございます。あの、私大丈夫です」
「……うん」
ゆっくりと腕が解かれ、明るくなった視界。心配そうに眉を下げた拓真さんが覗き込んできた。