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甘く、深く、繋がって
第30章 仕事初め
渡部さんはみんなの前で挨拶と簡単な自己紹介を済ませると、早々に畠山さんと現場に出掛けて行った。
もともとの地元は畠山さんと同じこっちなんだって。

私はその畠山さんにもらったメールを確認しながらスケジュール調整。
思った以上に渡部さんが案件を引き受けてくれてて驚いた。お蔭でキチキチだった他の技術さんの分を少し畠山さんにお願いして、年度末までのパズルを組み直せそう。

畠山さんが引き込んだって言ってたけど、渡部さん仕事出来る人なんだ……
さっきの風貌からは想像できないけれど。

のそっと頭を下げていた様子を思い出して口元が緩む。
畠山さんに出来た空き時間。黒田さんが転勤する前より多いそれに、不安だった気持ちを少し落ち着かせる事が出来た。私との事で黒田さんが転勤になり、ただでさえ忙しい技術さん達に負担を掛けるのは心苦しかったから……

渡部さんにもお礼を言わなくちゃ
……私の個人的な事情は打ち明けないにしても。

ふう、と息を吐いて伸びをする。
パソコンに向かっていると、どうしても姿勢が悪くなってくしまう。今日はデスクに置いた携帯の画面も見ながらなので、尚更。
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