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甘く、深く、繋がって
第31章 捕らわれたのは
お正月から弄られ続けていた身体に火が灯るのはすぐだった。お店のカウンターだという事は早々に頭から消え去って。拓真さんのくれる熱に溺れ、気付けば身体を揺らしてた……

思い返すとホント恥ずかしい。
増して来た身体の疼きに、熱い頬を両手で挟んでパンッと叩いた。

気持ちを切り替えるために、来たの!

タイミング良く沸騰した事を知らせる電子音が鳴って、私は急須を手に取った。

タイマーでしっかり時間を計って茶漉しを上げる。

今日の茶葉はダージリン。
うん、良い香り。

さっきのお礼に田中さんの分もマグカップにも用意して、彼女のデスクへ持って行く。総務の人は田中さん以外ほとんど面識がない。黒田さんとの事があるせいか、集まってきたいくつもの視線に心臓がギュッと苦しくなった。注目を浴びるのは苦手。それが男の人なら、なおさら……
「あ、の。田中さん」
声を掛けると田中さんがパッと振り返った。にこりと微笑む優しい瞳にホッとする。
「さっきはありがとうね」
パチンとウィンクされたのは拓真さんを紹介したから?
「いえ、こちらこそありがとうございました」
慌てて頭を下げ、マグカップをテーブルに置いた。
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