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甘く、深く、繋がって
第31章 捕らわれたのは
反ったままの体制で、ハマダ君と呼ばれた男の人がニッと口角を上げる。人懐こい笑顔と目が合って。
「でもまぁ折角顔見知りになれたんだし?ヨロシクね」
「えっ?あ、はい」
勢いに押されて頷くと、近くにいた他の社員さんにも次々挨拶されてしまった。
驚いて返事も出来ない私を田中さんが立ち上がって背中に庇ってくれる。
「もう、そんなに一度に声掛けたら怖いでしょ?おしまい。お仕事お仕事」
パッパッと手を払い、私の方に向き直ると私の向きもクルリと反転させて、背中を抱えるように歩き出した。
「わざわざ紅茶ありがとうね」
「いえ、私も飲みますから」
ふふっと笑った田中さん。
「戻ったらきっと羨ましがられちゃう」
「……どうして、ですか?」
「営業に島崎君っているでしょ?」
「はい」
島崎さんは営業の人だけど、外に出てる事が多くて案件を受け取る時以外接点がない。
「彼、さっきの濱田君と同期なの。大分前に真純ちゃんに煎れてもらったお茶が美味しかったって話したらしくて、営業はズルいって騒いでたから」
「……はい」
就職したての頃、名前を覚えるためにお茶を用意させてもらった。でも、もう一年近く前の事。
「でもまぁ折角顔見知りになれたんだし?ヨロシクね」
「えっ?あ、はい」
勢いに押されて頷くと、近くにいた他の社員さんにも次々挨拶されてしまった。
驚いて返事も出来ない私を田中さんが立ち上がって背中に庇ってくれる。
「もう、そんなに一度に声掛けたら怖いでしょ?おしまい。お仕事お仕事」
パッパッと手を払い、私の方に向き直ると私の向きもクルリと反転させて、背中を抱えるように歩き出した。
「わざわざ紅茶ありがとうね」
「いえ、私も飲みますから」
ふふっと笑った田中さん。
「戻ったらきっと羨ましがられちゃう」
「……どうして、ですか?」
「営業に島崎君っているでしょ?」
「はい」
島崎さんは営業の人だけど、外に出てる事が多くて案件を受け取る時以外接点がない。
「彼、さっきの濱田君と同期なの。大分前に真純ちゃんに煎れてもらったお茶が美味しかったって話したらしくて、営業はズルいって騒いでたから」
「……はい」
就職したての頃、名前を覚えるためにお茶を用意させてもらった。でも、もう一年近く前の事。