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甘く、深く、繋がって
第31章 捕らわれたのは
エレベーターの中は当然私達だけじゃない。一瞬この場で応えるのを躊躇して。でも
「……いえ、行きません」
声を落として、ちゃんとハマダさんに伝わるように断った。
「だろうねぇ。そう言うと思った」
頷くハマダさんの笑顔は変わらないままで。
「この後、彼氏と会うんだろ?」
さらにニィッと笑みを深められた。
「ホールに来た時から顔に書いてあったよ」
「……」
狭い個室の中必然的に近い距離で、なお顔を寄せてくる。
「彼に会えるのが嬉しくて仕方ないって」
耳元で囁かれて後ろに飛び退いた。遅れて顔がまた熱くなる。
クッと噛み殺す様に笑いながらハマダさんも身を退いて。
「だから、言ってるっしょ?何もしないよ?余りに幸せそうだったからからかっただけ」
「……」
恥ずかしいのと訳が分からないのと不信感と。周りの人も気になって何も言い返せない。
「あれ、怒った?」
聞いてくる声はやはり楽しそう。
怒ってる訳じゃない。知り合ったばかりのハマダさんにこんな事をされる理由が分からなくて困惑しているけれど。
「……怒ってはいません」
色々と気まずくて下を向いた。
「そう?」
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