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甘く、深く、繋がって
第31章 捕らわれたのは
拓真さんに電話を掛けながら、セキュリティゲートを抜けた。
一回のコール音ですぐに繋がった通話。
『はい』
耳に響く甘いテノールに心がホワンと和む。
「遅くなりました」
『いや、思ったより早かったよ』
拓真さんは優しい。自然に口元が綻ぶのが分かった。
「今、会社を出るところなんですけど、拓真さんどこにいますか?」
『んー……会社の前?』
「えっ!?」
少し言いにくそうに言われた言葉に驚いて目を凝らす。
正面玄関のガラスドアの向こう、少しお店の方に戻った辺り。街灯の真下を避け、ガードレールに腰掛けて話す拓真さんの姿が見えた。
「あっ、分かりました。一旦切りますね」
思わず声が跳ねる。
『ん、待ってる』
通話を切り、駆け出したい気持ちをグッと我慢して。でも足早に先へ進む。玄関まで来て、ガラスドア越しに拓真さんと目が合った。
ふぅっと目が弧を描き、綻んだシンメトリー。街灯の灯りを斜めに浴びた柔らかな笑みにトクンと心臓が跳ねる。
どうしてこんなに拓真さんが好きなんだろう。
私に向けられる柔らかな眼差しがすごく嬉しい。
自動ドアを抜け
「拓真さん!」
駆け寄ろうとして突然後ろから腕を捕まれた。
一回のコール音ですぐに繋がった通話。
『はい』
耳に響く甘いテノールに心がホワンと和む。
「遅くなりました」
『いや、思ったより早かったよ』
拓真さんは優しい。自然に口元が綻ぶのが分かった。
「今、会社を出るところなんですけど、拓真さんどこにいますか?」
『んー……会社の前?』
「えっ!?」
少し言いにくそうに言われた言葉に驚いて目を凝らす。
正面玄関のガラスドアの向こう、少しお店の方に戻った辺り。街灯の真下を避け、ガードレールに腰掛けて話す拓真さんの姿が見えた。
「あっ、分かりました。一旦切りますね」
思わず声が跳ねる。
『ん、待ってる』
通話を切り、駆け出したい気持ちをグッと我慢して。でも足早に先へ進む。玄関まで来て、ガラスドア越しに拓真さんと目が合った。
ふぅっと目が弧を描き、綻んだシンメトリー。街灯の灯りを斜めに浴びた柔らかな笑みにトクンと心臓が跳ねる。
どうしてこんなに拓真さんが好きなんだろう。
私に向けられる柔らかな眼差しがすごく嬉しい。
自動ドアを抜け
「拓真さん!」
駆け寄ろうとして突然後ろから腕を捕まれた。