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甘く、深く、繋がって
第32章 溶け合う身体(前)
促されるまま車に乗って、気付けば拓真さんの家に着いていた。
ごく自然に拓真さんが夕食を作ってくれる。食欲のない私を見計らったようにテーブルに並んだのはカボチャのサラダとカブとサーモンのクリーム煮。
拓真さんと向かい合わせで腰かけて
「頂きます」
手を合わせて声を揃えた。
カブの優しい甘味に頬が緩む。
「美味しい」
思わず出た言葉に拓真さんがフフッと笑う。
「そう?良かった。ゆっくり食べようね」
向けられた柔らかな笑み。拓真さんは何時もと変わらない。
「はい。ありがとうございます」
頷いて返すと、拓真さんは笑みを少し深めてスプーンを口に運んだ。

少し時間がかかったけど、残さず全部食べる事が出来た。
「真純も、お茶飲む?」
食器をさげた私にヤカンをコンロにかけて拓真さんが聞いてくれる。
「はい」
「ん、じゃあソファーの方で待ってて?煎れたら持って行くから」
何から何までしてくれようとする拓真さんに慌ててしまう。
「て、手伝います」
「んー大丈夫だよ。今日初日で疲れたでしょ?」
ニコリと笑顔で食器を軽く濯いで食洗機へ納めていく、拓真さんの手際の良さに諦めてリビングに戻る事にした。
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