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甘く、深く、繋がって
第32章 溶け合う身体(前)
「いっ!」
不意に近付いて来た拓真さんに柔く舌を舐められた。痛みに身体がピクッと跳ねる。反射的に舌を引っ込めて。
「ん、ふっ」
追われるように重なった唇。
「んん!」
すかさず拓真さんの舌が滑り込んで来る。歯列をなぞり、揺るんだ隙から更に奥へ侵食されて絡まれる。逃れようにも顎から後ろ頭に回された大きな手にガッシリと押さえられて叶わない。
「っん……」
舌先はヒリヒリと痛みを訴えている。
痛い、のに……拓真さんに擽られると痛みさえも快感に転じて
「ふ……ぁ、ん」
こぼれ落ちる甘い声。ゾクゾクと背中に震えが走る。

どう、して?
キスされてるの?

なぞられ、絡まれ、簡単に灯される情欲の炎。
おへその下がシュクシュクする。

や、だ……

そう思うのに、拓真さんの腕にすがり付いてしまう。

拓真さ、ん……

じわりと目尻に涙が滲んだ。
後ろ頭を押さえていた手が離れ、横髪を後ろへ流し梳く。
下唇を甘く噛んでからチュッと音をたてて吸い上げ、拓真さんが頭を起こした。
「……ますみ」
そっと目尻を拭ってくれる。
「さっきから、何考えてるの?」
「……」
応える事を躊躇して視線を落とした。
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