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甘く、深く、繋がって
第32章 溶け合う身体(前)
私の左手を拓真さんの大きな右手が包む。手のひらを上に返されて、滑り込んで来た長い指。その先に形を確かめる様に指の間をなぞられて、ゾクゾクする。手を引こうにも指を交互に絡めて繋がれてしまった。
「でも俺は、真純に誘われたいよ」
右だけ上がった口角。弧を描く様に細められた目の奥に灯る緋色。
ドクンと心臓が跳ねた。
「真純に誘われたいし、もっとヤラシクなって欲しいと思ってる」
もっと、ヤラシク?
それは私には衝撃的な一言で。
「な、なりません」
大きく頭を振った。
ジクジクと疼き出す胸の奥。
「ならないの?」
「なりません」
聞き返されて頷いて。
頭を過った、同じ制服の顔の分からない高校生。見知らぬ人々。一様に私を蔑むその歪んだ口元。
その奥にチラチラと混じる壮年の女性。憎しみの込められた眼差し。冷たい声音。
『うちの……を誘惑するなんて!本当に厭らしい』
……誘惑、したの?
誰、を?
私が?
……違う、私じゃない
『真純ちゃんはあんなはしたない子になっちゃダメよ』
厭らしい子にはならないの
はしたない子になっちゃダメ
なったら駄目、嫌われる
ここに……居られなくなっちゃう!
「でも俺は、真純に誘われたいよ」
右だけ上がった口角。弧を描く様に細められた目の奥に灯る緋色。
ドクンと心臓が跳ねた。
「真純に誘われたいし、もっとヤラシクなって欲しいと思ってる」
もっと、ヤラシク?
それは私には衝撃的な一言で。
「な、なりません」
大きく頭を振った。
ジクジクと疼き出す胸の奥。
「ならないの?」
「なりません」
聞き返されて頷いて。
頭を過った、同じ制服の顔の分からない高校生。見知らぬ人々。一様に私を蔑むその歪んだ口元。
その奥にチラチラと混じる壮年の女性。憎しみの込められた眼差し。冷たい声音。
『うちの……を誘惑するなんて!本当に厭らしい』
……誘惑、したの?
誰、を?
私が?
……違う、私じゃない
『真純ちゃんはあんなはしたない子になっちゃダメよ』
厭らしい子にはならないの
はしたない子になっちゃダメ
なったら駄目、嫌われる
ここに……居られなくなっちゃう!