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甘く、深く、繋がって
第32章 溶け合う身体(前)
真純の瞳が揺れている。
「……う、嬉しい、ですか?」
「嬉しいよ」
繋いでいた右手を離し、熱い頬をそっと包んだ。
「ん」
反射的に閉ざされた目蓋。目尻に滲んだ涙を親指の腹で拭う。

トラウマになるほどの傷を何の知識もない俺に治す事は出来ない。ならばせめて、感じやすくて『され』たがりな真純にその全てが愛しいと伝えたい。
罪悪感なんて抱かなくて良い。もっと感じて、もっと濡らして。もっと素直に俺を求めてよ。

「真純が感じてくれると、凄く嬉しい。もっと啼かせて、真純から欲しいって強請らせたい」
「……たくま、さん」
真純の声が震えてる。彼女の右手を握り、額を重ねた。ちいさな鼻に鼻を擦り寄せて。
「もっと感じて、俺だけにヤラシクなって」
「っ!」
唇を重ね、舌を差し込む。
「んっ……ふ……」
零れ落ちる甘い声。
可愛くて、愛しくて……
戸惑う舌を絡めとり、角度を変えて真純の口内を深く味わう。
「ん……んんっ」
頬をスイと撫で、後ろへ指を滑らせた。普段は冷たいはずの耳が熱い。
親指と人差し指とで耳朶を挟み、他の指を使って耳介の裏を柔くなぞると真純が肩をすくめた。
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