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五十嵐さくらの憂鬱。
第10章 …10
「おっはよー樹!
不機嫌そーだねーーーーっていう域を超えてる顔してるねっ!」

夏月は能天気にそう言いながら入ってくると
樹の目の前に座った。
このスーパー不機嫌モードの樹に
触れられるのはつきあいの長い夏月だけだ。

いつもの樹のオーラは丸い。
柔らかく、入り込めばすべてを包み込むが
入り込むまでは弾き返す円だ。

ところが、不機嫌になると
その円から棘が生える。
何者も近寄らせず
何者も侵入できない。
入ろうとすれば棘で刺されて死ぬ。
原爆よりも恐ろしいと謳われただけの迫力はある。

最近の樹は原爆モードだ。
取り巻きの女たちは
近寄っただけで泣いたか
泣かないにしてもどう触れていいか分からずお手上げのお手上げ状態だった。

「で、どーしたのさ?」
「うるさい、この猿が」

開口一番、樹が毒を吐く。
だいたいの人間は
樹の吐く毒素にやられる。

「おーこわこわ。このかづき君を猿呼ばわりできるのは
世界で樹くんだけ!」

と冗談を言って毒に対する免疫がある夏月は
樹の噴火寸前でニコリと笑う。

「さては、女だ?」

笑うが、目は笑っていない。
樹がジロリと夏月を見た。
女と聞いて、真綾が身を乗り出した。

「なぁに、樹、女の事でそんなに怒ってるの?
私が慰めてあげようか?」

その真綾をフルシカトする。

「さては、さくらちゃんだ?」

樹の沈黙に、夏月がビンゴ、と楽しそうにはしゃぐ。

「黙れよ」
「やだよーん」

ちっ、と大きく舌打ちして
樹は怒りを納めるように腕組みをして目をつぶる。
その腕に真綾が絡まった。

「夏月。さくらって、あのさくら?
最近、樹につきまとってる」
「はー?」

夏月はケラケラと笑い出した。

「つきまとってるのは、樹の方だって!」
「夏月。黙れ」
「やだよーん」

真綾は夏月のその言葉に
みるみる顔色が変わった。

「なに、それ。樹が特定の女につきまとうわけないでしょ?」
「それがさ、真綾。さくらちゃんにはつきまとっちゃうんだよ。
さくらちゃんも、迷惑だろうねー!」

夏月は樹を怒らせて面白がっていた。
その手に乗るか、と樹は意地になって怒りを鎮めようと努力した。

「なによ、それ。そんなのあるわけないじゃない。
樹が困ると思って5日前くらいに、
樹につきまとわるの辞めるように言ったばっかりなんだけど」

夏月の笑いが止まった。
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