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五十嵐さくらの憂鬱。
第19章 …19
「もうっ、さくらったら!」

そう言って後ろから飛びついてきた小春に
あまりにも驚きすぎて
ひっ、と息を呑むような悲鳴を上げた。


「はるちゃん、びっくりするから…」

ぺろりと舌を出した小春は
そのままさくらの腕に絡みつく。

「ちょっとちょっと、さくらったらまったく」

不適というか、ニヤニヤと笑う小春の意図が
さくらにはまったく分からず
ただただ疑問を浮かべていると
「とぼけないでよー」と
さらに小春はさくらを小突ついた。

「え、ちょっと待って、本当に何なのか
さっぱり分からないんだけど…」

「え、さくら、それほんとに言ってるの?」

小春があまりにも疑問の表情を浮かべ続けるさくらに
目が飛び出んばかりの驚きを見せる。

「樹先輩、まさか、本当に教えてないんじゃ…」

その小春の意味深な発言に
さくらはさらに眉根を寄せた。

「待って、本当に知らないなら、
やっぱり私の口からは言えない!
樹先輩とこの後合流するんでしょ?」

それに返事をしようとうなづいたときには
会場の扉が開いて、
中から人があふれ出す気配がした。

卒業生を待つ、多くの花束を抱えた後輩たちが
いっせいにその会場のほうへと小走りで行く。

「私たちも行こう!」

そういって小春に手を握られて
さくらはわけが分からないまま
小春に引っ張られるように会場へとさらに近づいた。

サークルの先輩、お世話になった先輩、ゼミの先輩。
みんながそれぞれの思いを抱えながら
それぞれ思い入れのある人物へと駆け寄っていく。

小春はしきりにきょろきょろしながら
お目当ての人を見つけると
「じゃ、行ってくるね!
私たち、この後デートだから、また後で話そ!」
というや否や、
華麗にウインクを決めて走っていく。

彼氏に飛びつくと
嬉しそうに腕を組んで去っていった。
最後に小春にもう一度だけ
ウインクと意味深な笑顔を向けて
2人はあたりの世界から切り離されたかのように
人ごみをすり抜けて歩いていってしまった。

取り残されたさくらは
全くどうしていいかわからず
とりあえずぼうっと立っているだけだった。

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