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五十嵐さくらの憂鬱。
第1章 …1
「…さくら、枯れるよ?」
「か…!枯れるってなにもそんな…」
心配そうな小春に言い返せず
さくらは大きくため息をついた。
「嫌いじゃないんだよね。
でも、会ってもいつも同じテンションだし。
ご飯食べに行くとかもあんまりなくて」
つまんない。
そういう言い方は光輝に失礼かもしれないが
事実、それ以上ピッタリの言葉が見当たらない。
「つきあってるってだけで、満足しちゃうみたい。
出かけなくても、毎日連絡とらなくても
たまに会えば、それで満足なんだって」
「それじゃあ、さくら、
あなたは満足してるわけ?」
さくらの複雑な表情に、小春もため息を吐く。
「それって、だいいち、恋人って言える?
光輝くんのこと、胸はって好きって言える?
自慢の恋人ですって、言える?」
今にも泣きそうな顔のさくらの背中を
またもや小春がドン、と叩く。
「よし! さくら、別れな!」
「…はい…って、えっ??」
小春は口を尖らせる。
「…女の子にそんな顔させる男はダメ!
とっとと別れて、幸せな顔にさせてくれる人探しな!」
「でも…」
光輝の事が嫌いなら悩まない。
もっと一緒にいたいし、もっと触ってほしい。
そう思うのは、好きだからこそ。
「だっても、でもじゃないの!
あーったく、さくらはそうやっていつも煮え切らないんだから!
幸せは自分でつかみに行かないと!
まだ大学生なんだよ?
まだまだ、可能性なんていっぱいなんだからね!」
さくらは力なくうん、とうなづいた。