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五十嵐さくらの憂鬱。
第4章 …4
家に着くまで
樹は特になにも聞かず話さず
たださくらの手をぎゅっと握って
夜道を歩いた。
「はい。お疲れ様」
アパートの前につくと
さくらを部屋の中に入らせて
帰ろうとする。
「ちょ、先輩!」
「ん?」
「帰っちゃうんですか?」
「…居て欲しい?」
さくらは素直にうなづいた。
1人でいるなんて、とても無理だ。
小春を呼ぼうにも今日はバイトだし
翔平はサークル活動で忙しい日だ。
「あの、あったかい飲み物何か飲んで行って下さい」
樹の手を初めて自分から握りしめた。
歩いたせいか樹の手は温かい。
そっとさくらの手を握り返し
樹は後ろ手にアパートの鍵を締める。
「わかった。お言葉に甘えて、お邪魔しようかな」
さくらの頭を優しく撫でる手に
これほどすがりたくなった時はない。
さくらは半べそで笑いながら
樹を中に招き入れた。
さくらはポットのお湯を沸かし
自分にはココアを
樹にはコーヒーを淹れた。
テーブルに飲みものを出し
この間作り置きしておいた
スコーンをお皿に盛る。
「これ、さくらが作ったの?」
「はい。お菓子はあんまり作れないんですけど
これは簡単に作れるから」
樹の隣に腰を下ろすと
温かいココアに口をつける。
「あっちっ…」
あまりにも熱くて
舌先を火傷した。
樹はそのさくらを見ておかしそうに笑う。
「ドジにもほどがあるだろ」
樹の手がさくらの顎を持ち上げる。
「見せて?」
「え?」
ほら、と急かされて身体を寄せられる。
「舌出して」
言われるまま舌を出す。
樹の顔が寄ってきて思わず身を固くすると
「しないよ。期待しちゃった?」
意地悪な笑みが近くで見えた。
「意地悪しないで下さい…」
「彼氏いるのにキスする方が
普通は意地悪なんだけどな…」
そう言って、さくらの唇に優しく、
壊れものを扱うかのように優しく
口づけをした。
樹は特になにも聞かず話さず
たださくらの手をぎゅっと握って
夜道を歩いた。
「はい。お疲れ様」
アパートの前につくと
さくらを部屋の中に入らせて
帰ろうとする。
「ちょ、先輩!」
「ん?」
「帰っちゃうんですか?」
「…居て欲しい?」
さくらは素直にうなづいた。
1人でいるなんて、とても無理だ。
小春を呼ぼうにも今日はバイトだし
翔平はサークル活動で忙しい日だ。
「あの、あったかい飲み物何か飲んで行って下さい」
樹の手を初めて自分から握りしめた。
歩いたせいか樹の手は温かい。
そっとさくらの手を握り返し
樹は後ろ手にアパートの鍵を締める。
「わかった。お言葉に甘えて、お邪魔しようかな」
さくらの頭を優しく撫でる手に
これほどすがりたくなった時はない。
さくらは半べそで笑いながら
樹を中に招き入れた。
さくらはポットのお湯を沸かし
自分にはココアを
樹にはコーヒーを淹れた。
テーブルに飲みものを出し
この間作り置きしておいた
スコーンをお皿に盛る。
「これ、さくらが作ったの?」
「はい。お菓子はあんまり作れないんですけど
これは簡単に作れるから」
樹の隣に腰を下ろすと
温かいココアに口をつける。
「あっちっ…」
あまりにも熱くて
舌先を火傷した。
樹はそのさくらを見ておかしそうに笑う。
「ドジにもほどがあるだろ」
樹の手がさくらの顎を持ち上げる。
「見せて?」
「え?」
ほら、と急かされて身体を寄せられる。
「舌出して」
言われるまま舌を出す。
樹の顔が寄ってきて思わず身を固くすると
「しないよ。期待しちゃった?」
意地悪な笑みが近くで見えた。
「意地悪しないで下さい…」
「彼氏いるのにキスする方が
普通は意地悪なんだけどな…」
そう言って、さくらの唇に優しく、
壊れものを扱うかのように優しく
口づけをした。