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五十嵐さくらの憂鬱。
第6章 …6
押さえつけなくとも
さくらの両手は抵抗をする意思をなくした。
樹にしがみつき、
嫌だと言いながら押し返そうと努力するが
力の抜けた身体ではどうにもできない。

両方の胸を揉みしだき
唾液でベトベトになるまで吸い付いた。
頂きはやがて熱を持ち
硬くなって刺激を求め
赤みを帯びて樹を誘いこむ。

「もうこっち、ぐしょぐしょだろ?」
「いや…ちが…」

乳首に噛み付けば
痛いのと快楽とでさくらの目の淵に涙がうっすら溜まった。
その涙を舐めとって樹はにこりと笑う。
天使と謳われるほどの
妖艶な笑み。

「濡れてなかったら許してやる。
下着をつけてきたことも、俺に逆らったことも」
「あ、そんな…」
「濡れていたら、当初の予定通り
俺に中でイかされる調教をうけることだ」

いいな?と樹は微笑む。
さくらは絶望的な目をして、樹を見つめていた。

「だめ…先輩。私絶対濡れてる…」
「よく分かってるじゃんか」

勝ち目がもともとないような賭けと脅し。
樹のもちかける快楽の服従に
屈しなかった女は居ない。

濡れていたらお仕置き。
考えなしに樹に股を開いていた女達は
濡れていることに喜びさえ覚え
樹のお仕置きに心底溺れていった。

「勝ち目ない賭けは、卑怯です…」

胸を隠しながら
さくらは恐る恐る樹に抗議する。
樹は毒気を抜かれ
机の上に半分腰掛けると
それは面白そうに笑い出した。

「…先輩?」

さくらはあっけに取られて
その樹を見る。
面白そうに、くつくつと笑い、
両手で顔を覆った。
サラサラの髪の毛が日の光を受けて
ハシバミ色に透ける。
さくらは自分の今の状況を忘れて、
綺麗だななんて
のほほんと考えていた。

「やっぱ、さくら。お前、最高だわ」

そう言ってソファに座ると
さくらを引き寄せて身体を横に寝かせた。
上に乗っかったさくらを抱きしめ
今までで1番優しくて清らかなキスをする。

「俺に、そんなこと言う女
いると思わなかった」

樹はさくらの頭を優しくなでて
愛おしい者にする口づけをする。
さくらの耳の、イヤリングに指先が触れた。
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