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五十嵐さくらの憂鬱。
第6章 …6
「そんなに、彼氏が好きか?」

それにさくらは声を詰まらせる。
樹は優しい瞳で見つめ、
指先でイヤリングを弄ぶ。

「好きか嫌いかって言われたら、好きです。
でも…」
「でも?」
「光輝が、私のこと好きか嫌いかはわかりません」

樹はさくらにキスをした。

「結婚するって言ってくれてるし
優しいし、好き。
でも、将来は見えなくて不安だし
周りも別れた方がいいって言ってて…」
「さくら、そんな顔するな」

襲いたくなる。
樹はさくらをぐいと抱きしめた。
若干嫌がっていたが、根負けしておとなしく樹の腕の中におさまった。

「このままじゃ、私が苦しい。
言いたいこと言えないし。
でも、好きな気持ちが
そう簡単になくなるわけないじゃないですか…」

樹に頭を撫でられ
さくらの目はとろんとしている。
寝不足なのか、疲労が見て取れた。

「また、喧嘩したのか?」

それにさくらはうなづく。

「電話で?」

それにもうなづく。

「なんで?」
「会いたいって言ったら怒られた…」
「え…?」

さくらは目に涙を浮かべる。

「ちょっと会えないかなって聞いたら
忙しいの分かってないって怒られて…」
「ちょっと待て。さくら、それはあんまりだ」

そう思う、とさくらは樹の胸にしがみつく。

「それでも、好きなの。
今まで一緒に居た、優しい光輝が忘れられないし
私がもっと我慢できたり
光輝のために色々できたり
もっと魅力的な身体だったら…。
光輝はまた優しくしてくれると思うの」

しがみつくさくらの頭を撫でながら
樹は怒りと悲しみと
初めて、自分が勝てないという絶望に襲われた。

「さくら。自信持ちなよ。
もう充分いい女だよ」

そう、俺を悩ませるほど。
樹を悩ませる女など、ほぼ、いなかった。

「だめなの。今の私じゃ。
だから先輩に頼ってみたけど…
でも、これじゃ光輝を裏切ってるみたいで…」

樹はこのかわいそうなさくらに同情し、
そして、彼女の弱味につけこんでやろうと思った。
優しい樹は、樹の優しさに溺れて、
さくらを壊してやろうと思った。

「裏切ってなんかないよ」
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