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あやかし姫の蜜事 ~巫女の夜伽は人ならざる者と~
第1章 蜜事・一 毛羽毛現の髪之助(はつのすけ)
「子供である貴女には隠しておきたかったのでしょうね……貴女の母上は、生まれつき体が弱かったのです。毎日この鏡の前で悔いていました。私はただの髪の毛ですから、薬などにはならないというのに」
「そんな…………」
毛羽毛現は、傷ついた表情の暦の頬に触れた。
「私が貴女にお会いしたかったのは、その旨をお伝えしたかったためです。母上が貴女に隠していた真実と、それから……」
「……それから?」
暦が言葉を促すと、毛羽毛現の手は暦の顎を捕らえ、くいっと上に上げた。
「っ!」
暦の顔と、男の顔が近付いた。
吐息すら感じられるほどの近距離で、彼の双眸が暦の目を覗き込むように細められる。
「……貴女の母上から仰せつかったのです。もしも貴女が私を見付けたならば、あやかし姫としての勤めを怠っていないか見届けるようにと」
「あ……あやかし姫の、勤め……」
その言葉の意味は、一瞬で理解できた。
要するに――
「私も永らく、快楽を味わっていないのですよ。おかげで、目の前に愛らしい乙女が居ると思うだけで、欲が疼いてたまらない…………さぁ、お分かりですね?」
――妖怪達の欲の捌け口となる事。
「っ………………はい……私で欲を鎮めて下さい」
男の唇が、三日月型に歪む。
「よく言えました、姫」
「あっ!」
肩を強く押され、暦は後ろへ倒れた。
そこへ覆い被さるように、男も倒れ込んでくる。
「ふふ……毎晩毎晩妖怪達の慰み物にされて、体はすっかり出来上がってしまっているのでしょう?」
「え……」
「隣の母屋から聞こえてくるのですよ? はしたなくて、醜くて、愛らしくて、たまらなくそそられる貴女の喘ぎ声がね」
「っ……」
見るみる間に、暦の顔は熱で紅潮していく。
「それだけでこんなに顔を赤くしていたのでは、最後まで身がもちませんよ? くくく……」
「んっ…あ……」
男の指先が、首筋を伝う。
ただそれだけで、暦の体の深い部分がざわざわと騒ぎ始めてしまう。
いくら暦が妖怪達の全ての欲の捌け口だとしても、勤めは夜に行っている。
このような昼日中から交わるなど、流石に羞恥心が込み上げてくる。
「こ、こんな明るい時間からなんて……」
「ふふ、何を今更。散々乱れておいて、今頃になって恥じらうなど解せませんね。やはり、あやかし姫としての勤めは果たせていないという事ですか」
「そんな…………」
毛羽毛現は、傷ついた表情の暦の頬に触れた。
「私が貴女にお会いしたかったのは、その旨をお伝えしたかったためです。母上が貴女に隠していた真実と、それから……」
「……それから?」
暦が言葉を促すと、毛羽毛現の手は暦の顎を捕らえ、くいっと上に上げた。
「っ!」
暦の顔と、男の顔が近付いた。
吐息すら感じられるほどの近距離で、彼の双眸が暦の目を覗き込むように細められる。
「……貴女の母上から仰せつかったのです。もしも貴女が私を見付けたならば、あやかし姫としての勤めを怠っていないか見届けるようにと」
「あ……あやかし姫の、勤め……」
その言葉の意味は、一瞬で理解できた。
要するに――
「私も永らく、快楽を味わっていないのですよ。おかげで、目の前に愛らしい乙女が居ると思うだけで、欲が疼いてたまらない…………さぁ、お分かりですね?」
――妖怪達の欲の捌け口となる事。
「っ………………はい……私で欲を鎮めて下さい」
男の唇が、三日月型に歪む。
「よく言えました、姫」
「あっ!」
肩を強く押され、暦は後ろへ倒れた。
そこへ覆い被さるように、男も倒れ込んでくる。
「ふふ……毎晩毎晩妖怪達の慰み物にされて、体はすっかり出来上がってしまっているのでしょう?」
「え……」
「隣の母屋から聞こえてくるのですよ? はしたなくて、醜くて、愛らしくて、たまらなくそそられる貴女の喘ぎ声がね」
「っ……」
見るみる間に、暦の顔は熱で紅潮していく。
「それだけでこんなに顔を赤くしていたのでは、最後まで身がもちませんよ? くくく……」
「んっ…あ……」
男の指先が、首筋を伝う。
ただそれだけで、暦の体の深い部分がざわざわと騒ぎ始めてしまう。
いくら暦が妖怪達の全ての欲の捌け口だとしても、勤めは夜に行っている。
このような昼日中から交わるなど、流石に羞恥心が込み上げてくる。
「こ、こんな明るい時間からなんて……」
「ふふ、何を今更。散々乱れておいて、今頃になって恥じらうなど解せませんね。やはり、あやかし姫としての勤めは果たせていないという事ですか」