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~ 愛しい人へ ~
第3章 ~ 私を想う ~
わたしがお見舞いに行って、


8日後、


祖母は、旅立った。


「おばあちゃんのお兄さんが


 お見舞いに来てから、


 どんどん悪くなって…。」


と、妹が言った。


妹いわく、


祖母は、もう自分は長くないのだと


感じ取ったのでないかと……。


わたしは、妹から連絡を受け、


ホテルの手配をし、新幹線の手配をし、


急いで、地元へ帰った。


新幹線の窓から見える景色は、


いつもと変わらないのに、


鈍色のカーテン越しに見ているような


重苦しい印象だった。


わたしの心が、そういうふうに


見せているのだろう……。


考えると、


涙が溢れそうになる。


今は……、


考えちゃいけない。


ギュッと固く目を閉じた。


泣きたくない……。


泣いてしまったら、


涙を止められなくなるから。


地元に着いたのは、


23時だった。


妹のご主人が、迎えに来てくれた。


仮通夜で、妹とわたしで、お線香をたやすことなく


過ごすことになっていた。


葬儀場について、


棺に眠る祖母を見て、


声にならない声をあげ


泣いた……。


ついこの間まで、


祖母は……生きていたのに。


仮通夜の時に、


わたしが知らないいろいろなことを


妹から聞いた。


母は、弟妹がいるのだが、いろいろと揉めていると…。


わたしは、他人事のように聞いていた。


それは、結婚して家を出て、


ずいぶんと……疎遠になっていたからだと思う。


わたしは、母をはじめ、親戚のことなんて


どうだってよかった。


ただ、


祖母のことを考えたかった。


祖母が、わたしに語った言葉……


声が聞きたかった。


表情が見たかった……。


わたしの元を……去らないで。


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