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~ 愛しい人へ ~
第4章 ~ ご主人様を想う ~
慎二さんから、短い追伸が届いた。


 『12年の交際の歴史。
 ななさんの心の空白は、短期間で埋まるものではないでしょう。


 男女間のことは、お二人にしかわからないことだと思います。


 時間が、唯一の処方箋なのでしょうか…。


 慎二』


そう……空白が埋まらない。


彼と過ごした日々は、ツラいこともたくさんあったけれど、


今は、キラキラとした想い出。


思い出は……美化される。


慎二さんは、なにもおっしゃらない。


早く、忘れた方がいいですよ。


とか。


ただ、見守ってくれる……。


わたしは、それに甘えている。


心地よくて……。


彼のことを思い出して、
胸のすみっこをヒリヒリさせている。


でも、慎二さんの存在を思い出して。


ヒリヒリが弱まってゆく。


わたしの中で、慎二さんは……少し特別な存在。


まだご主人様ではない。


でも、ただのメル友ともちょっと違う…。


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