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~ 愛しい人へ ~
第4章 ~ ご主人様を想う ~
わたしは、慎二さんとメールを交わしていて、
気になっていることがある。


それは、


名前のこと……。


本名の「七瀬」から


「なな」の名前でメールを交わしているけれど…。


本当は。


名前を伝えたほうがいいのか……と。


わたしは、SMの世界……を知らない。


水商売の世界では、源氏名。
文学界では、ペンネーム。
ネットの世界では、ハンドルネーム。


SMの世界も……そういう仮の名前でよいのかどうか…。


なんだか…。


慎二さんをだましているような。


そういう気持ちになっている……。


慎二さんと、メールを交わせば交わすほど。


お互いの距離が縮まれば縮まるほど。


これでよいのかと……考えていた。


「七瀬」という名前が……あまり好きではなく、
「なな」と名乗った部分もある。


でも。


会ったことのない人に……、本当の名前を伝える、
そのことに怖さがないといえば嘘になる。


どうしたらよいか……。


わたしは、とても…考えた。


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