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~ 愛しい人へ ~
第4章 ~ ご主人様を想う ~
わたしのメールはまだ続いた。


 『> 私は、緊縛についてお話しながら、
 少しずつ、少しずつ、
 お話や疑似調教のメールで
 千帆の心を、
 見えない麻縄で縛っていたのだよ。


 ご主人さまは、
 やっぱり優しくていじわるな方です。
 ご主人さまが、
 千帆を見えない麻縄で
 縛ってみたいと思われたのですか?


 それとも、千帆がそれを望んでいると
 思ってそうしてくださったのですか?


 もし、ご主人さまの意志で
 縛ってみたいと思われて
 そうしてくださったのなら、
 私はうれしくてしかたないですが…。


 > 名前を授けたのは、
 奴隷としての自覚を持たせるためだ。


 名前をもらい、
 ご主人様の所有物になったんだと、
 自覚させるため。


 > もう「なな」ではないんだよ。


 ご主人さまだけの千帆なんですよね。



 > 名前は、表の理性の七瀬と、
 奴隷の千帆を切り離すためのもの。


 > 私の奴隷である千帆は、
 七瀬に嫌悪される存在ではなく、
 私が認めた、奴隷千帆であるということ。


 ご主人さまの伝えたいことがわかりました。
 千帆を知る人は、ご主人さまだけですね。


 切り離し、できていません。
 それは、七瀬が「いいひと」すぎるからです……。


 自分で言う!と、ツッコミを入れつつ…。


 私が嫌いなことを排除していき行動に移していくと、
 おのずと「いいひと」ができあがります…。


 他者からの評価はいいです。


 私は、いいひとぶっているのか?巨大なネコを被っているのか?


 また、千帆だけじゃなくて
 私をまるごと知ってもらいたいと思っています。


 私は、ご主人さまのこととだって
 まるごと知りたいと思っています。


 私は、なんて利己的なんでしょうか。


 私は、なんて面倒なんでしょう……。
 ご主人さま、ごめんなさい……。』


書いたメールを読み直して、思った。


客観的に


なんて思いが強すぎるのだろうと。



呆れた。


逢ったこともない、
メールだけの繋がりの……
ご主人さま。


依存しようとしている…。


そう感じた。


それは、彼のことがあったから。


じゃあ、ご主人さまは
彼の代わりなの?


そんなことはなくて。


でも、わたしは少し混乱した。


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